ぐるぐる将棋生活

将棋教室や道場に通ったり、プロの先生の将棋を観戦したりイベントに行ったり。いち将棋好きの将棋生活の備忘録です。

第1期叡王戦 決勝三番勝負 第1局 大盤解説会

ニコニコ動画でおなじみ、ドワンゴが設立した新棋戦「叡王戦」もいよいよ大詰め。
記念すべき第1期の決勝は郷田先生と山崎先生の三番勝負!
この第1局の大盤解説会を見に六本木のニコファーレに行ってきました〜。

実はこの第1局、観覧希望に応募してみていたのですが、抽選に外れていたのです。
残念だなーと思っていたらなんとお友達から「一緒に行く人の都合が悪くなってしまったので行きませんかー?」という嬉しいお誘いが!
急遽大盤解説に行けることになりました!本当にありがとうございます!

ニコファーレに行くのは初めてでした。
大江戸線で変な乗り間違えをするとかいうお上りさんぷりを発揮して、待ち合わせ時間ギリギリに六本木に。
開場10分くらい前についたのですが既にたくさんお客さんが並んでいました!


ニコファーレが地下にあるとは知らなかった。秘密基地感があってワクワク

ちなみに欠席ぶんを見越して、定員よりも少し多めに当選が出ているということで、会場に入れなかった場合は立ち見やロビーでの観戦になるとのこと。
入場が始まって運よく席を確保しました。
会場は定員280名と書いてありましたが、始まるころは立ち見のお客さんもいっぱいいらっしゃったので、少なくとも300人は入っていたのでは。大盛況です!
そしてロビーにはドリンクコーナーが。あとスクリーンも設置されていてここでも観覧することができます。
印象的だったのはロビーの席には盤駒が4組くらい置いてあって、なんと検討しながら観戦することもできるという!
盤駒を見ると自分も指したくなるのですがぐっとこらえて会場へ。

ニコファーレ、もちろん中継では何度も見ているのですが入るのは初めてで感動!
そんなに広くない場所なんだな〜、とか三面すべてでっかいスクリーンになっていてすごい!とか、わーコメント流れてくる!とひととおり会場を見回してワクワク。
席を確保した後さっくりお昼を食べていよいよ解説会が始まります!

解説は鈴木八段、永瀬六段、聞き手は安食女流初段、中村女流初段でした。
今回の観戦は割と急に決まったのでカメラを持って来られず残念。
私の3年前のしょっぱい携帯のカメラで撮影した座席からのながめはこんな感じです。




会場の様子

今回は大盤解説の後ろで、両対局者の様子を正面からとらえた映像が大きく映し出されています。
おお対局者の先生方は見られるの気になるかもですが、見ている側としてはこれは嬉しい……。
先生方の盤に向かって真剣に考える姿、眼鏡を外して目薬をさす姿なども見られてどきどきです。

それからニコファーレに行ってみて良かったと思ったことのひとつが音!対局場のマイクがその場の音もよく拾ってくれていました。
対局場は国立科学博物館の講堂ということで、駒を指すときの「ぱちん……!」という駒音が講堂内に反響しているのもよく聞こえるのです。
両対局者のため息やお茶碗にお水を注ぐ音、衣擦れの音などまで聞こえて臨場感たっぷり!
ニコファーレのスピーカーは会場全体に響くので、本当に自分が対局場にいるかのように錯覚できます。

この擬似対局場いいですね……。もうちょっと一般に高度な映像技術が普及したら、手軽に自分の家に擬似対局場が映し出したりできるようにならないでしょうか。
3Dとかでその場に対局者がいらっしゃるかのような感じに……こう……(何を企んでいるのか)。

さて脱線しましたがいよいよお昼休憩が明けて解説会開始!
午前中最初のところだけ見てきたのですが、戦型は相掛かり!
郷田先生も山崎先生も得意な戦型ということで、とても楽しく観戦しました。

将棋については放送のタイムシフトで実際に見ていただいたり、おそらく素敵な観戦記が出ると思うのでそちらを読んでいただければと思うのですが、本当にすごい将棋でした。。。
終盤まですこしずつ優位を広げてきた郷田先生が優勢に進めていたように見えたのですが、わずか一手で形勢不明に。
その後両者一分将棋となり、最後は山崎先生が寄せきって第1局勝利となりました!

あんな114手目△3六同歩なんて、低級位者の私にとっては普通の手にしか見えないのですが、それで一気に形勢が傾くんだなー。将棋おそろしい……。
会場ではponanzaの評価値と読み筋が映し出されていたのですが、3000点を超えるリードが一気に0まで戻って逆転したときは会場がどよめきました。
相掛かりという戦型のせいもあるんですかね。玉形が薄いし、ちょっとした手順前後で簡単にひっくりかえってしまうイメージがあります。

それにしても山崎先生の指し方すごかったなあ。
鈴木先生、永瀬先生の解説を聞いていると、形勢が悪いときに決して引き離されないように、分かりやすくならないように一手一手を選びながら指し続けるという……。
最後まであきらめずに良い手を探し続けて逆転する姿にぐっときました。

負けてしまわれましたが、郷田先生の指し回しもとてもとても格好よかったです。
特に92手目の△4四角を指されたときは、鈴木先生の解説もあいまって思わず涙が出そうになるほどでした。
郷田将棋のファンが多いというのはこういうことか……とよく分かりました。しみじみ。

1日じっくり観戦して、級位者ながらすっかり両先生に心奪われてしまいました。。。
これはもちろん解説の先生方の力によるところも大きいです!
単に棋譜だけを見ていたら絶対「ほえー」で終わっていた自信がある。
鈴木先生、永瀬先生がご自分の読み筋やponanzaの読み筋を交えながら、局面に現れない変化をたくさん解説で盛り上げてくださって、級位者でもドキドキしながら観戦できました!
鈴木先生は対局者心理を交えた解説をしてくださったり、永瀬先生は著書「負けない将棋」からミニ講座を開いてくれたりもりだくさんでした。
安食先生と桃子先生の安定の司会ぶりも素敵だったな〜。

そして相掛かりという戦型の虜となりました。そもそも名前が素敵ですよね「相掛かり」。
一手一手に「これが私の手ですよ」と主張と意味づけを積み重ねていく感じがたまりません。
ああ相掛かり勉強してみよう……!たぶんさっぱり指せないと思うけど指してみたいよ……。
年が明けたら何か相掛かりの棋書を読んでみようとさっそく検索をはじめた今日このごろです(単純)。

終わったのは22時すぎだったでしょうか。半日がかりでものすごい将棋を見たのでその日の夜はなかなか寝付けず、次の日もなんだかぽけーっとしていました。
見る将棋ファン歴1年ちょっとの間、すごい将棋って何局も(主にモバイル中継で)見ているんですけれども。
やはり多くの人とその場を共有した影響というのは大きいのでしょうか。
ただ見ていただけなのにこんなにぽやぽや状態になってしまうとは、ああ将棋ってほんとにすごいなあと思った1日でした。

第2局はニコファーレへは行けませんが、次の対局も楽しみです!


※もしも今回掲載した写真で何か問題等ございましたらお知らせいただければと思います。